運動音痴のサッカー好きが大人になったら

かろうじて小学校はサッカー部。その後は文化部だった運動音痴が、それでもオタク的なサッカー好きに成長して、フットサル、息子の所属するスポーツ少年団でパパさんコーチをこなす奮闘記

全員でつかんだ勝利こそ意味がある

実は、長男のいる三年生。年末にワンデイ大会に出ていました。
その話を遅ればせながら。


今までは少年団同士の試合が多かったけれど、今回の顔触れはクラブチームばかり。
その中でも全然ヒケとっておりません。最終的には8チーム中3位でフィニッシュ。


ただし、2試合目でボコられたねー。
これまでも負けることはあったけれど、まぁ、内容的にはむしろ勝ってたんじゃね、というのばかりでしたが、今回はぐうの音も出ないほどに。
もう個の能力で負けておりました。プラスで組織力も負けていたとあっちゃあ。

さすがに、みんな、暗い顔していました。


決勝トーナメント1回戦。
完全ガチメンバーで出たけれど、前半終了で1-3とリードされる展開。
これまではドリブルで剥がせていたところ、なかなか突破できないシーンが続いていて、じゃあ、ということで、ハーフタイムにメインコーチから、これまでと同じやり方だと勝てないよね、なら何を試してみる?と声掛け。


一気に変わりました。
いきなりサイドでダブルワンツーを繰り出し、点に結び付けるという。


もちろん大きいコートでやるようになって、かつレベルの高い学年だから、パスという選択肢も与えていたけれど、頭の中はやはりドリブル。
コーチがパスを出せと言っているから出していただけで、彼らが初めて能動的にパスを出したのは、まぎれもなくこの瞬間だった。

いやー、いいですな。
初めて勝てない相手と戦って。じゃあ、どうしようと、これまた初めて自分の意志で一つ上のレベルに行こうと、プレイの幅が広がったのは。
この瞬間を彼らに味あわせてあげただけでも、この大会に参戦した意味はありました。


次の試合などは、中盤で囲まれて取られそうだからと初めて後ろにパスし、それだけじゃなくてリターンを受けるべく、サイドに走って。そのパスが残念ながらショートで綺麗に繋がりはしなかったけれど、DFの子もちゃんと意図を汲んで難しい体勢ながらワンツーパスを繰り出し。

そのDFの子、長男ですけどね。

初めてのプレーだったし、体勢も悪かったしで、けど、ここでワンツーを出せるかがターニングポイント。出せれば周りの子(ベンチに座っていた子も含めて)にも新しいバリエーションを見せられるし、バックパスした子、仮に長男がドリブルして取られてしまっていたら、その後、バックパスという選択肢が彼の中から消えてしまう危険性もあった。
そこは本当によく出してくれました。普段は頼りなくて仕方ないけれど、さすがに戦術眼の高さがあるところを見せてくれた長男。


長男自体、入りは最悪でしたけどね。
そもそも前の日のスクールを見学しに行くと、全く体を張らない。せっかく体入れてマイボールに出来ているところを、後ろから簡単に押されてボール取られる。
こんなもん雷落としてやりましたよ。泣かせるぐらいに。
次の日、大会だったからね。抜かれるのは仕方ないにせよ、体の1つでもぶつけて少しは邪魔せんかい。

けど、予選リーグ、始まってもスクールと同じプレーしかできず。
DFのくせに激しさがない。自分のエリア守るだけで、カバーしない。相手がフリーで上がってきているのに、付きにいかない。

件のぼろ負け2戦目。実は最初のワンプレイで中央3、4人抜かれて、そのまま先取点決められていました。
全員がそうだったとはいえ、最後、さしたる抵抗もなく抜かれていたのは長男。


「○○、お前やぞ!!」


珍しく試合中に声荒げてやりました。
別にあいつだけのせいとは思わないけれど、少なくとも前日から言っていたことが全くできていなかったので。

ちなみに、僕がこんな風に怒る人だとは思っていなかったらしく、ベンチに座っていた子たちが驚いて、全員振り向くという(笑)


そんな長男もさすがにまずいと思ったのか、特に決勝トーナメントに進んでからは格段に良くなりました。
ビビりながらも、体をぶつけてディフェンスする様。取ったボールを絶対に失わないという気迫でキープし、前にパスする様。今までで一番良かったと思います。
父親に怒られる、というよりは、やはり自分たちの実力の上を行く相手に、がむしゃらにやらないと勝てないと思ってくれた様子。


長男の話はここまでにしておいて、その決勝トーナメント1回戦。
急成長を見せた子供たちは一旦3-3まで追いつき、その後、(あんまその子だけに責任負わせるのもかわいそうだけど)GKのミスも重なってしまって、結局は3-6で負けることに。

けれど、3位決定戦。5年や6年がよく対戦しているクラブチームに対し、なんと前半ガチメンバーで戦うと、まさかの大量6得点。
これも大会前の彼らだったら、ここまでの大差はつけられなかった。大会中の成長が6点リードという結果をもたらしてくれた。

これなら全員出せるよね、とハーフタイム、全とっかえの采配をした後に、メインコーチは「あと任せた」と相互審で後半のピッチに。
まだ2人、この試合に(というか決勝トーナメントに入ってから)出場していない子がいたから、じゃあ、半分たったら出ようか、試合時間少ないから好きなポジションで出してあげるよ、交代するのは出場時間長かった2人にしようか、などと会話をしながら、ベンチの2人のモチベーションを上げている最中、まさかいきなり3点取られてしまうという。


「え~と、うまく調整してね(笑)」
などと声をかけてくる審判のメインコーチ。


無茶言うな、そっちがジャッジで調整しろや、と公正さの欠片もないことを思ってみたり。


もしかしたら出場できるかも、と色めき立つレギュラー陣。
「僕出して」と寄ってくるガキんちょどもに(こういう時にちゃんと長男は空気読んで、ベンチに座り応援してくれてたりする)、「うるせぇ、お前らは出さん。そもそも、お前らがもっと点とってりゃ、こんなことになってないんだぞ。お前らのせいだ」と無茶苦茶なことを言ってやりました。
ホント全員パニクって、この時は超ハイテンションのお祭り状態。カオスに陥る我が軍勢。

けどさー、ここでレギュラー陣出して鎮火するのが一番楽だよ、確実だよ。
でもよー、ようやく出番だと意気揚々と出ていったら、点だけ取られてそそくさと代えられてしまう子の気持ちは? まだお呼びがかからず、けどようやく出してあげると言われた子が、結局出れなくなったら?
ここはもう何言われるのも覚悟で全員出すという決断下せるの、僕しかいないでしょ。
(ちなみに、後日、この決断をメインコーチから感謝された。メインコーチも、勝利を求められているという立場の中、一方で当然ながら出場機会を作ってあげたいという気持ちも持っていて、その部分を上手く僕と分担できればいいんじゃないかな)


なんと後半メンバーが奮起してくれて、押された展開の中、半分手前のところで虎の子の1点をもぎ取ってくれる。
よし4点差、最後の2人を送り出し、高らかに宣言。「もう俺は何もしない。あとはお前らに預けた」

そっからも猛攻を食らい、ゴールを割られること2度。
それでも全員が頑張って、2点差を保ったままホイッスルを迎えることが出来ました。


どーですかね。
やられまくった後半だったし、そこだけ切り取れば敗戦なんだけれど、前半のままのメンバーで大勝するよりもずっと意味があったんじゃないかな。
もちろん後半メンバーには奮起してもらわなきゃいけない部分は多々あるかもしれないけれど、リードを守り切るという、点差的にはもしかしたら難易度の低いミッションだったかもしれないけれど、それを何とかやり切ったっていうのはとてつもなく大きい意義があるわけで。
ガチメンバーの成長だけでなく、チーム全体として大きな経験値を得た大会でした。


羨ましい。
次男坊の学年にも、こんな都合よく経験を積ませてあげられるだろうか。