天皇杯決勝でも見えた日本サッカーの弱点
あけましておめでとうございます。
勝ちましたなヴィッセル。
ビジャ引退、イニエスタもこの試合で退団?という中、こういったときはきちんと「カミカゼ」吹かすのが日本という国。
こりゃ、エスパルスも準決勝で敗退するわけですよ(実際は、カミカゼがこちら側に吹いてようやく勝てたか、という内容)。
バルサ好き、スペイン好きの僕からすると、ビジャはなかなかに頼もしいストライカーだったわけで。
とにかくシュートが上手かったという印象。この辺りはハリー・ケインに通ずるところ。
バルサでは左サイド固定でそのクオリティを100%出せたわけではなかったし、代表のビックトーナメントでは、予選リーグではガンガン得点を積み上げてくれるのに、決勝トーナメント佳境に入ると途端に黙りだすというネタを披露してくれるところも含め、好きな選手の一人でした。
でも、ユニフォームは持っていません。
ああ、いや、今回はビジャの話をしたいわけではなく。
実際のところ、天皇杯決勝、後半途中から見ただけなので、全てを語りはできないのだけれど、僕がもう10年近くにわたって、これこそが日本サッカーの弱点、というのがもろに現れた試合だったんじゃないでしょうか。
とにもかくにも、パススピードが遅すぎる。
縦のクサビのボールは、そこそこ早い。
そりゃ、相手の急所つくわけだから早くなけりゃ通らない。そこはいい。
問題は、ディフェンスラインでの回しや、中盤での横の繋ぎ、ライン際に張った味方へのボール出し。
もうどうなってんだ、と思うぐらいに遅すぎる。
勝ってるヴィッセルが遅いならまだしも、負けてるアントラーズがちんたらやってるのはどういうこと。
そこで急いだところでチャンスにはならん、早いパス出して味方が処理に手間取り相手に詰められるほうが問題だ、リスクマネジメントの一環だ。そんな言い分が聞こえてきそう。
何のためにボールを回してるんだ、と逆に聞きたい。
相手が詰めてきたから逃げるために。
そんな風にボール回しを捉えているから、ゆっくりしたパスになるんよ。
相手の守備陣形を崩すためにやるんでしょ。
僕は、ボールキープ率至上主義者ではあるけれど、キープ率を上げることを目標にしてしまうとこうなるよ、という典型的な例。
整っている守備隊形を横にずらして外に広げて、ギャップを作り、そこにボールを通すためにやってんだよ。
そんな遅いボールで回したって、すぐ修正されてまうわ。
天皇杯決勝、録画している人いたらもう一度見返してください。
アントラーズの球回しの遅さ。それに慣れてしまっているからショートカウンター気味にチャンス作って、サイドに早いボールで渡せば優位な状況でつっかけられるところ、鈍行パスで大したチャンスにもならなかったシーンもあった。
エスパルス、ホームでの大分戦でも同じシーンがあり。
負けてるのに、ちんたらボール回し。クサビに入れる意識が高いのは好意的に捉えるけれど、だったらなおのこと、その前のパスを早くしようよ、と何度訴えたことか。
色々理由あるでしょうが。
僕が一番ここかな、と思っているのが、トラップ能力の低さ。
ぴたっと止めれないから、早いボールも出せない。
海外リーグと比べて、Jリーグは浮き球処理している率がはるかに高いと感じます。パスは遅いのに。
リスクマネジメントという大義名分で、だからパスは丁寧に、ということなんでしょうが、だからこそトラップを上手くするべきなんじゃね?と、素人の僕なんかは思ってしまうわけです。
ちなみにですが、サッカーD級コーチの研修で、「これから日本サッカーが強くなっていくために必要なことは?」という質問があり、当てられた人は組織力などと言っていたが、圧倒的に基礎能力が足りてないでしょ、まずそこからですよ、と持論をぶちまける気でいましたが、当てられずに済んでよかったですね(笑)
天皇杯決勝でもそうだったし、件の大分戦でもそうだったけれど、選手に同情するとしたら、どちらも芝がかなり深いように見え、ボールのスピードが殺される方向にあったこと(それを加味して強く蹴らないかんでしょ、とは思うけれど)。
サッカーという競技においては、絶対にボールが速く動いたほうがスリリングで(それによってトラップミスを引き起こし、レベルの低い試合になってしまうという危険性は置いておくとして)、それをお膳立てする芝の管理ができていないというところが、まだまだ日本サッカーの成熟度が足りてないというところではなかろうか、と。